第一段階19種から第二段階26種の銘定への拡張

其扇流では、銘定に源氏物語の54帖の形式を採用しています。
ただ、最初から54種類だと覚えるのが大変ということもあり、発足当初は19種類に簡略化してスタート。
その後、昭和63年に26種類に拡張して、その体系でTBS「しあわせ家族計画」などを通じて知名度が上がったため、すっかり定着しました。
そして第三段階として、2000年5月から40種類に拡張。そして10年後には54帖の完全復元を目指しています。


其扇流が発足した当初は、いきなり複雑な54種の銘定を復活させることよりも広く普及させることを優先させ、ほぼ3分の1の19種類にまで簡略化させた銘定の得点表を使用していました。
それが次の第二段階(1988年〜1999年)の26種の銘定とどのような関係にあるか、表にまとめてみましたので、ご参照下さい。
この第一段階の得点表には形態の説明はなく、私が其扇流の投扇興を始めた時(1994年)にはすでに26種になっていたので、下に書いた形態の説明は図を見た範囲で私が解釈したものです。
いわゆる「但し書き」も全くなく、実にシンプルで覚えやすい内容で、普及を最優先させていたことがよくわかります。

得点 形態 第二段階で該当する形
手習 扇が蝶に当たらなかった形 手習、野分
花散里 扇と蝶が落ちてバラバラの形 花散里
末摘花 扇と蝶が落ちて向かい合った形 末摘花
行幸 扇が枕にかかった形 行幸
松風 蝶が枕の上で倒れた形 松風
鈴虫 地に落ちた扇と蝶が重なった形 夕顔、朝顔、夕霧、鈴虫
須磨 扇が枕にかかり、蝶と向かい合う 須磨
薄雲 枕にかかった扇の陰に蝶 薄雲
若菜下 扇が枕にかかり、蝶は枕上で倒る 若菜下
早蕨 10 蝶が地で立つ 早蕨
澪標 11 扇が枕に乗る 澪標
若紫 13 蝶が地で立ち、扇が枕にかかる 若紫(、蓬生?)
東屋 13 蝶が地で立ち、扇と向かい合う 東屋
帚木 15 蝶が枕上で倒れ、その上に扇乗る 帚木
空蝉 18 蝶が枕から逆さ吊り(扇は地) 花宴、空蝉
桐壺 20 蝶が地で立ち、扇が枕に乗る 桐壺
浮舟 30 地に落ちた扇の上で蝶が立つ 浮舟
篝火 50 枕に乗った扇から蝶が宙吊り 篝火
夢浮橋 50 地で立った蝶と枕に扇がかかる 夢浮橋

野分がなく、コツリの但し書きもないということは、つまり過料(減点)が全くなかったわけです。
ほとんどは26種の銘定と変わらないわけですが、第二段階以降と最も違いが目立つのは「鈴虫」です。当時の絵図に載っているのは今でいう「夕顔」の形で、しかも点数は5点なのに、なぜか銘定は「鈴虫」。本来の鈴虫の見立てとの関係がよくわかりませんが、頻繁に現われる形である上にやはり扇の上か下かなど複雑になってしまうのは避けたのかもしれません。
また、18点ももらえる「空蝉」の絵に描かれているのは、なぜか今の「花宴」の形です。つまり、扇が枕にかかっていなくても18点だったわけですね。それを思うと、現在は7点しかもらえない割にめったにお目にかかることがない「花宴」は、もうちょっと高得点でもいいかな…という気もしてしまいます。
一方、2桁得点のいわゆる「大技」はほとんどが26種と同じかと思いきや、蓬生と真木柱が見当たりません。おそらく、蓬生の形が出たら若紫か早蕨に取るのでしょうが、どちらにしていたかは定かではありません。
ここまでは何とか推察できたのですが、真木柱だけがわかりませんでした。もしも当時、真木柱の形が出ていたら、どの銘を与えていたのかちょっと興味がありますが、薄雲とか若菜下にしていたのでしょうか?