源氏香と団体戦

源氏香」というのをご存知でしょうか? と言っても私も香道には全く詳しくないので、広辞苑の説明を引用してみます。

組香の一。香五種を、一種五包ずつ合計二十五包を打ち混ぜ、その中の五包を取って焚き、香の異同を判別する。
縦に五本の線を並べて書き、右より一炉から五炉までとし、同香の頭を横に結ぶことによって五十二の図をつくる。
源氏五十四帖の初帖「桐壺」と終わりの帖「夢浮橋」とを除いた五十二帖に当てた図で回答する。

つまり、AAAAA BBBBB CCCCC DDDDD EEEEE の25包から任意の5包を抜き取って焚いてみると、それはたまたま全てが同じ香(AAAAAやCCCCCなど)の場合もあるし、五つとも全部異なる(ABCDE)こともあるわけですが、「五つのうちの何番目と何番目が同じ香だったか」を当てる遊びで、その際に使われるのが「香図」です。
全てのパターンを数え上げると、1+5+10+10+15+10+1=52種類になるため、源氏物語全54帖の「桐壺」と「夢浮橋」を除いた52種類に当てはめて用いるわけです。
ちなみに、全部異なるのは「帚木」で、全部同じなのは「手習」になります。詳しいことはこちらのサイトを参照させていただきましたので、具体的な図などもそちらをご覧ください。


都御流の「投扇会」では、この源氏香そのものを楽しむこともあるそうですが、5人1組で行なわれる団体戦にもこの源氏香の図を利用した遊び方を採用しています。
それは組扇と呼ばれるもので、各チームのメンバーの1人が源氏香の図が描かれたカードを引き、その図に扇を蝶に当てるか当てないかを当てはめるのです。
たとえば、「玉蔓」のカードを引いた場合は、左側2本と右側3本に分けられるため、5人のうち2人もしくは3人が「私は当てます」ということを宣言し、残りの人は「当てません」と宣言するのです。そして、その通りの結果を出さなければなりません。

「当てる」と宣言した人が当てることができれば10点、同じく「当てない」と宣言した人が当てなければ10点です。
当てると言ったのに外してしまったり、逆に当てないと宣言したのに当ててしまうと得点はもらえません。また、当たっても当たらなくても、1畳の大きさから扇の要がはみ出した場合は無効になります。
わざと手習にするのは簡単なようですが、「当てない」とした場合も扇は枕の向こう側に落とさなければなりません。したがって、蝶の距離にまで届かないとダメであるどころか「コツリ」になってしまってもいけないわけで、ちゃんと投げた上で外さなければならないのですから、むしろ当てるよりも難しいかもしれません。
5人全員が宣言どおりに成功すれば50点ということになりますが、パーフェクトはなかなか出ないのだそうです。


ただ、源氏香カードの見方などが今ひとつわからないので、ぜひ一度体験してみたいと思ってます。

2003年7月17日追記
最近の団体戦では、他の形式の試合も行なわれているようです。枕と蝶をはさんで両チームが向かい合って投げあい、得点を競うのですが、決まった数だけ投げて得点の高い方が勝つのではなく、決められた点数にどちらが早く到達するかを争うそうです。
そしてそのカウンターとして、例の「這い子人形」が使われ、その人形が自分たちの方から相手の陣地に早く届けば勝ち、という趣向のようです。