源氏物語形式は、試合の進め方は「よきひ形式」と共通で、銘定については基本的に浅草と同じです。というより、こちらの方が先です。
浅草では普及のため、それぞれの銘の形の「できやすさ」に応じた点数に修正してありますが、都御流の源氏物語形式は本来の古文書にある点数のままで現代に受け継いでいます。特に、扇が蝶を落としたというだけの「花散里」には点を与えていないのが、初心者には厳しいですね。
私の印象を一言で言うと、「美しい形」には高い点を与え、「偶然性が強い形」はそれほど評価していないようです。
特に、投扇興の起源でもある「枕に扇が乗った形」である澪標は、浅草では(おそらく出現頻度に応じて)11点であるのに対して、都御流では何と55点も与えています。したがって、澪標が一度でも出せれば、その席での優勝か上位入賞はほぼ確定してしまうほどです。
一方、単に蝶が立ったというだけの早蕨については、浅草では10点与えているのに対し、都御流ではわずか4点しかもらえません。
その他、54種全ての銘定および点数については、「源氏物語形式の銘定」に一覧表としてまとめておきましたので、ご参照ください。元々の点式(絵図)は、宮脇賣扇庵で投扇興セット一式を購入するとついてきます。点式だけをばら売りしてもらうこともできます。
銘定をする際のポイントとして、いくつかわかっている点を列挙しておきます。
さてそこで、浅草ではありえない、逆転現象も起こります。
蝶が立ったときに、その蝶の錘(おもり)の部分にわずかに扇がかぶさっていたらどう取るか。浅草だったら迷わず早蕨に取るわけですが、都御流では夕霧になります。これは何故かと言うと、都御流の源氏物語形式の銘定では、上記のように早蕨が4点しかないのに対して夕霧は8点も与えられているためです。高い方を優先するというわけですね(合わせ技にするわけではないようです)。
実際に都御流の試合で審判をやった経験のある人が私の周りにいないもので、なかなか詳しいことを教わる機会がありません。ぜひ全容を知りたいと思ってます。