點數表

表十組

瀧川 過料二點(包み倒るゝときは無點)
瀬をはやみ岩にせかるゝ瀧川の
散花 三點
久かたの光りのどけき春の日に
龍田川 七點
千早振る神代もきかず龍田川
秋風 八點
秋風にたなびく雲の絶え間より
富士 十一點(要枕の脇へ外るゝときは八點なり)
田子の浦に打出てゝ見れは白妙の
築波根 十二點(字包倒るゝ時は八點)
築波根の峯より落るみなの川
橋立 十三點
大江川いくのゝみちの遠ほけれは
千鳥 十四點
淡路島かよふ千鳥のなく聲に
春の野 二十點(但扇紙の傍にかゝる時は無點
     叉扇外れて下にあるときは十五點)
君かため春の野に出てゝわかな摘む
白妙 二十五點 褒美(但し包枕に付けは褒美なし)
はる過きて夏来にけらし白妙の

裏十二組

高砂 三十點 褒美
高砂の尾上のさくら咲きにけり
小莚 二十二點
きりゝす啼くや霜夜のさむしろに
假寢 二十一點(要の枕の縁へ外るゝときは無點)
なには江のなしのかりほのひと夜ゆえ
山櫻 十九點(要枕の横へ出るときは無點)
もろともにあはれとおもへ山さくら
沖の石 十八點
我袖はしほひに見へぬ沖の石
小倉山 十五點
小倉山峯のもみぢ葉心あらば
軒端 十二點(字包枕にからめば無點)
もゝしきやふるき軒端のしのふにも
有明 十點(包扇の下へ入るときは五點)
ありあけのつれなく見へしわかれより
玉の緒 九點
玉の緒よたへなばたへよながらへば
我か庵 五點(字包扇の下より出るときは無點
    叉た扇の親骨下へ附き親骨小倉山の如く
    はなるゝときは無點)
我か庵は都のたつみ鹿ぞ棲む
過料引三點(包扇枕の並らびより外るゝときは無點)
嵐ふく三笠の山の夕なぎは
手枕 二點
なつの夜は夢ばかりなる手枕に

なお、銘定の図についてはそのまま掲載させていただきます。