投扇興の遊技法

 扇は、平安時代に日本で発明され、室町時代に紙貼りが開発されてから、輸出産業として貴重な、純国産品でした。末広がりと称して、めでたいものの代名詞でもある扇を使って、すべての礼法の基本に四季をかたどり、悠々たる時に用いる木枕を置き、酒の席の遊びとしたところに、江戸時代の日本人の文化と心の豊かさを知ることができましょう。もちろん、賭けごとは厳禁されているのは、いうまでもありません。
 古式の原典ともいえる『投扇新興』から、当初の規則を抜粋しました。

席法 枕の前後に席を定め、枕より扇たけ四つ、或いは三つを隔てて座す。左に字扇取役一人、右に銘定行司一人、記録を付る役人他に一人。
番数 一席を十番、或いは五番とも定める。
席上 緋の毛氈の類を長さ十五尺、幅一尺五寸にして敷き、真中に枕を置く。
塗枕、或いは蒔絵の入ったもの等、物ずき次第。
金銀の扇に極彩色にて山桜、或いは紅葉等。骨は十二軒、要は金銀であること。
文銭十二字を錦の布に包み、金銀の紙にて裏打ちして包むべし。金銀の水引にて是を結び、枕の上に乗せ置く也。