投扇興の道具

投扇興をやるにはいくつかの道具が必要ですが、中でも無くてはならないのが扇と的です。
的は、流派によって「蝶」「胡蝶」「花」「的玉」などいろいろな呼び方と形がありますが、浅草では「蝶」もしくは「字」と呼びます。また、的を乗せる台のことを、特に「枕」と呼ぶこともあります。
これらの呼び方の由来は、投扇興の起源にちなんでいます。詳しくは「投扇興の歴史」をご覧ください。

投扇興で使う扇は、あおいで涼を取るためのものではないので、どっしりした作りではなく、むしろ軽くできています。骨の数も8本(流派によっては10本や12本も)と、少な目です。うっかりあおいだりすると、要(かなめ)が傷んだりしますので、ご注意ください。

それと、新しく扇を購入すると、扇を締め付けるような小さな銀紙の輪が必ずついていますが、これをちゃんと使用している人はどれくらいいるでしょうか。けっこう、すぐ失くしてしまったりしませんか?

これは「責め」(セメ)と呼ばれる物で、広辞苑の説明によると「笙、刀の鞘、扇などの端からはめて締めつける用をなす金具の輪。責金。責鞐(せめこはぜ)」とされています。金具の代わりに銀紙が使われているわけですが、これで常に締め付けることによって、要(かなめ)がゆるんでしまうのを防ぐことができるのです。
長い間、同じ扇を投げていると、どうしても要が緩んできてしまい、うまく飛ばせなくなってしまうものです。そうなると、いくらかのお金を払って扇屋さんで締め直してもらうか、へたすると買いなおすようなことにもなりますが、大事に使い続けるためには、この「責め」を失くさず、きちんと利用するといいでしょう。


さて、浅草の投扇興の蝶および枕は、次のような物です。
距離も流派によってまちまちなのですが、浅草の場合は160cmほど離れた所に座って扇を投げます。

扇を構えたら、狙うのはこのイチョウの葉の形をした蝶です。最初はまっすぐ飛ばすことすら大変ですが、飛び方が安定してきたら、次はいよいよこの蝶に狙いを定めるわけです。
ちょっとずれると左右に逃げていったり、蝶を飛び越えたり枕に当たったりしてしまいますが、うまく蝶に当たるととても感動します。

実は、蝶そのものに狙いを定めるとうまく行かない場合もあり、私などはちょっと違う位置(具体的には、枕の下辺)を目標にしてたりします。言ってみれば、ボウリングのレーンに投球の目安として描かれてあるスパットのようなものです。
自分にとってどこがいいか、それは練習していく中で体得していってください。扇1本1本の特性や各自の体格などによっても、微妙に違ってきます。