ひな祭りのイベントでの投扇興


京都・市比売(いちひめ)神社の「ひいな祭り」

女人守護のここ市比売神社では、毎年3月3日にひな祭りの行事を行なっており、宮脇賣扇庵の道具を用いた投扇興の披露も行なっています。

体験してきた人のレポートもネット上にいくつかありました(2008年現在、削除されている模様)。予約は不要で費用は1000円。ひな茶の接待もついてます。
静岡の項でも書いたように、ひな祭りのイベントとして投扇興を行なう地方はけっこうあるようですね。

 

うまい具合に土曜日となった今年(2001年)は私も立ち寄ってみたのですが、大変な人出でした。
写真ではわかりづらいかもしれませんが、ここは神社側が(京都で学ぶためにやってくる氏子さんの子女を受け入れるためなどの理由で)マンションを建てており、その1階部分を神社としているため、ちょっと見るとどこにあるかわからないくらいです。
しかも新聞等で毎年大きく報じられるためか、その手狭な所に大勢の観光客が訪れ、中は立錐の余地もないくらいでした。受付から覗いてみただけで中の混雑ぶりがよくわかり、投扇興の見学をじっくり行なうのは大変そうだったので、1000円がちょっともったいない(^_^;)のと時間がなかったこともあって、今回は断念して外を見ただけで帰ってきました。
翌日、地元の売店で朝日新聞京都版を買ってみたら、やはり地方欄に今年もこの模様が紹介されていました。残念ながら投扇興については触れられていませんでしたので、また機会を見つけて行ってみたいです。


静岡のひな祭り

静岡県は日本有数の雛人形の産地ということで、3月3日のひな祭りには盛大な催しがあちこちで開かれます。そしてその際に、投扇興が披露されることが多いようです。
静岡新聞の記事を検索してみると、いくつかひな祭りや投扇興に関連する記事がヒットします。新聞の短い記事なので、どういう形式の投扇興かなど細かいことはわかりませんが、興味深かった物を3件の一部を引用させて頂きます。

1995年3月3日付「優雅にひな祭り、投扇興など楽しむ 静岡市で宵節句パーティー」

 ひな祭りを祝う、「第六回宵節句パーティー」が二日夜、静岡市御幸町の松坂屋静岡店で開かれた。
(中略)
 二対のひな人形が飾られた会場では、扇を投げて約一メートル先の的に当てる「投扇興(とうせんきょう)」などみやびやかな遊びも。参加者を楽しませた。

1995年1月23日付「投扇興で風雅なひと時−SBS学苑講師の横山大山さんが再現」

 SBS学苑の煎茶道と香道の講師・横山大山さん=静岡市在住=が主宰する「静山会」は二十二日、同市黒金町のJR静岡駅ビル「パルシェ」で、江戸時代末期に流行した古典遊技「投扇興(とうせんきょう)」を行い、風雅なひと時を過ごした。

1994年3月3日付「大人だって”ひな祭り” 女性350人が宵節句楽しむ」

 江戸時代の故事にならい、ひな祭りの前夜祭を大人の女性に楽しんでほしいと「ひなあそび 宵節句の集い」が二日夜、静岡市寿町のマリベール平安閣で開かれた。
 ひな祭りの生け花や三十種類のひな道具が飾られた会場には、中部地区を中心に約三百五十人の女性が集まった。(中略)また、江戸時代の女性の遊びだったといわれる扇を投げて的に当てる投扇興が行われ、参加者らはさまざまな趣向でひな祭りを楽しんだ。

どなたかご覧になったことがある方、ぜひ情報をお待ちしています。


三重県一志郡一志町(いちしちょう)

伊勢新聞の記事によると、2001年3月14日に、「ひな人形の時期にふさわしい遊びを」ということで企画されたそうです。場所は公民館で、「蝶や枕は手作り」とのこと。
記事によると、安永年間発祥という投扇興の起源も正しく挙げている割には、なぜかここでも「平安」の衣装とか雅楽とかが演出に使われています(^_^;)。
「技の名前は小倉百人一首や源氏物語にちなんでいる」とあるだけで、この日にここで行なわれた投扇興がどういう形式だったのかは定かではありません。それに、記事を読む限りでは今年初めて行なわれたようにも読めます。


神奈川県秦野市(はだのし)の投扇初夢香雛祭会

1994年3月13日の朝日新聞神奈川版の記事によると、ここの鶴巻温泉にある有名な旅館「陣屋」(将棋のタイトル戦がしばしば行なわれる高級な所です)で、前日に「投扇初夢香雛祭会」が秦野市郷土文化会(安本利正会長)の主催で開かれ、仕舞、聞香、投扇興などを鑑賞したということです。
私がちょうど秦野市に住んでおりますので、一度秦野市立図書館で郷土史の資料などを調べてみたのですが、なかなかそれらしい記述が見つけられませんでした。

会場の広間には大きな雛(ひな)段が飾られ、笛の音に合わせて扇を投げるみやびやかな遊びに、参加した約八十人が日常の世界を離れて春のひとときを楽しんだ。

という記事を読むと、他にはあまり見られない形式のようにも思えます。
またいずれ調べ直してみたり、その郷土文化会に連絡をつけてみようと思っていますので、何かわかったらまとめてみます。