神社・仏閣


京都・宝鏡寺

 宝鏡寺は、孝明天皇の皇女・華林宮恵厳禅尼を開山とする臨済宗の門跡寺院で、春・秋の人形展以外は非公開。百々御所ともいわれ、人形の寺の名で知られる尼寺です。ここに、百人一首系の投扇興が伝えられています。
ここのルールは、やはり関西一円の投扇興の例にもれず、投げる時に背筋をまっすぐ伸ばしていなければなりません。ただし、枕までの距離は扇3枚分なので、東都浅草其扇流と距離的にはあまり変りません。それ以外のルールの詳細は不明です。

 百科事典にも紹介されている(写真を見る限り、道具は宮脇賣扇庵や文扇堂の物と同じに見えます)くらいなので、かなり有名なようですが、まだ詳しいことがわかりません。
 ただ、「日本の美術 No.32 遊戯具」(関忠夫編)の記述によると、ここの道具の箱は貼札に「信行大人歌、松園女史画、投扇興」と書かれた類であり、さらに「美也古扇」という名が記されているということなので、まず間違いなく宮脇賣扇庵が扱った道具であると思われます。

 2001年3月3日に京都に行った折りに、ここの人形展(今回のテーマは「京の子供遊び」でした)を見学してきましたが、投扇興は「投壺」の展示室の片隅に置かれていただけで、特に解説などはなく点式も展示されていませんでした。
投壺の方は、矢を持って今から投げようとする等身大の平安女性の人形五体と一緒に展示されており、写真撮影禁止だったのが実に残念です。浅草寺以外で投壺を身近に見られる所は滅多にありませんので、機会があれば是非見学してみることをお奨めします。

 受付係の方にお話を聞いてみると、かつてはここでも投扇興の会を熱心に開いていたらしいのですが、現在では特に行なわれていないということでした。
ここで頂いたパンフレットには、京人形のお店の広告がたくさん載っており、そのうちの一つ「平安武久」には独特の投扇興がありましたので、これから一つ一つ見て回って、他にも投扇興を扱っている店がないか調べてみる楽しみができました。


京都・霊鑑寺(れいかんじ)

2000年の4月22日(土)に、ここで投扇興が行なわれた模様。
京都国際交流団体連絡協議会のサイトによると、「霊鑑寺拝観並びに投扇興・野点茶会」というのがあったそうで、それによると、

場所:霊鑑寺(左京区鹿ケ谷御所ノ段町)
13:30〜16:30
★霊鑑寺拝観並びに投扇興・野点茶会。霊鑑寺は一般に非公開の門跡尼寺(禅宗)で,江戸時代の庭園,襖絵,御所人形,椿(約30種)など見るべきものが多い。
また今回は佐藤御門跡の特別のご好意により寺宝等の話のほか,書院にて江戸時代の遊戯「投扇興」を行う。
主催・問:京都ボストン交流の会

ということです。
京都のお寺の書院でわざわざ行なわれるということは、もしかしたら独自の投扇興であった可能性もありますので、こちらも京都に行く機会にはぜひ行って確認してきます。
ただし、京都の観光ガイドブックによると、ここは上にもあるように通常は非公開で特別拝観の時にしか中に入れないようなので、いつのことになるやらわかりません(^_^;)。


京都・東福寺(とうふくじ)

 これはまだ何も情報があるわけではないのですが、ただ「日本人形玩具辞典」(斎藤良輔編、東京堂出版)の「投扇興」の項に、東福寺で投扇興を行なっている写真が載っているのです。
 道具は宝鏡寺と同じく、やはり宮脇賣扇庵製のように見えます。取材できたらご報告します。