岡山・後楽園の形式

2000年の「おかやま後楽園300年祭」において投扇興の催しが行なわました。県民の評判もよかったようで、翌年9月20日の県議会での土木部長さんの答弁からも、岡山県の力の入れ具合が伺えます。

さて、その300年祭以来、岡山県には投扇興の愛好会が各地にでき、すそ野が広がっているそうです。今年(2001年)のゴールデンウィークでも引き続き、投扇興の体験会が行なわれました。その中心となっているのが「おかやま投扇興を楽しむ会」です。
もともとは、戸羽の会の指導のもと同じ道具と点数形式を用いていたらしいのですが、後楽園で開催するということで点式も後楽園流にアレンジしたものが用いられています。2001年4月30日に開かれた「春の大会」の模様を報じたTBSのお昼のニュースの映像によりますと、どうやら道具については円満院の物に似ているように見受けられます。しかも投者から的までの距離はかなり遠く、戸羽流の遊び方とはだいぶ違ってきています。

2002年6月14日追記
2002年4月27日の大会の模様も後楽園の広報スタッフ奮闘記で紹介されていますが、記事内容にある「曲水の宴」や「延養亭」から確かに下の表のような点式を使っていることがわかるとともに、写真から明らかに道具は円満院のものとわかります。ところで、「枕打ち」っていう過料の規定ができているみたいですね? 後楽園のスタッフの方が郵送してくださった手元の点式には、そういう規定は見られないのですが、最近追加されたのでしょうか。


さて、点式の銘がアレンジされている、と言っても形態と点数は同じなので、戸羽の会の百人一首形式の銘を併記しておきますが、どのような名前に変わっているか、見比べてみてください。

得点 形態の説明 百人一首形式
での銘
初音
(梅・うぐいす)
参加賞三点   初霜
(はつしも)
延養亭 十二点 澪標の扇の上で
蝶立つ
かりほの庵
(かりほのいほ)
曲水の宴
(流店)
十一点
的玉倒れ八点
桐壺状態
澪標状態
御幸
(みゆき)
芝の鶴 十点
的玉倒れ七点
浮舟、横笛状態
夕顔、朝顔状態
筑波嶺
(つくばね)
二千年蓮 九点 東屋状態 千鳥
(ちどり)
唯心山 八点
的玉倒れ五点
若紫、明石状態
行幸、須磨状態
富士
(ふじ)
月の宴
(名月鑑賞会)
七点
的玉倒れ四点
「葵の上」で、扇が
要を下にして立つ
三笠
(みかさ)
八つ橋 六点
的玉倒れ三点
手前から扇−蝶−枕
の順に並ぶ
有明
(ありあけ)
桜花爛漫
(染井吉野)
五点 手前から枕−蝶−扇
の順に並ぶ

(にしき)
千入の森
(もみじ)
四点 末摘花状態 秋の野
(あきのの)
散る花
(さくら)
一点 花散里状態 散る花
(ちるはな)
空飛ぶ丹頂 不中扇 手習で扇が枕の向こうで、
要が向こう側
むら雨
(むらさめ)
沢の池 不中扇 手習で扇が手前
(コツリも含む)
古浪
(あだなみ)
遊ぶ鯉 不中扇 手習で扇が枕の向こうで、
要が手前側
ゆらの戸
(ゆらのと)
鶴の舞 過料三点 野分状態 山颪
(やまおろし)
松の菰(まこも)巻き 過料三点 夕霧、鈴虫状態 雲がくれ
(くもがくれ)
藤の花 過料一点 松風、花宴状態 おく霜
(おくしも)
平四郎の松(末) 敢闘賞二点   松山
(まつやま)