2003年に活動を始めた「日本投扇興連盟」では、百人一首に見立てた31種の銘定を考案しています。
その図と歌の資料を頂きましたので、ここでご紹介いたします。歌の中の太字部分が、見立ての意味なのだそうです。
形態と得点の対比、あと試合進行については、基本的に浅草と同じです。
銘 | 得点 | 歌 | 詠み人 | 浅草での銘定 |
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吹くから | 過料20点 | ふくからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ |
文屋康秀 (ぶんやのやすひで) [22] |
野分 |
ほととぎす | 無点 (箱面を打てば 一点の過料) |
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる |
後徳大寺左大臣 (ごとくだいじのさだいじん) [81] |
手習 関屋 藤袴 |
瀬を早み | 1点 | 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢わむとぞ思ふ |
崇徳院 (すとくいん) [77] |
花散里 |
夏の夜 | 2点 | 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ |
清原深養父 (きよはらのふかやぶ) [36] |
梅ヶ枝 |
これやこの | 3点 | これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関 |
蝉丸 (せみまる) [10] |
末摘花 |
天ノ原 | 4点 | 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも |
安倍仲麿 (あべのなかまろ) [7] |
行幸 総角 |
風をいたみ | 4点 | 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな |
源重之 (みなもとのしげゆき) [48] |
紅葉賀 絵合 |
もろとも | 5点 | もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし |
前大僧正行尊 (さきのだいそうじょうぎょうそん) [66] |
松風 |
巡り会い | 5点 | めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな |
紫式部 (むらさきしきぶ) [57] |
夕顔 夕霧 |
契りきな | 6点 | 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 浪越さじとは |
清原元輔 (きよはらのもとすけ) [42] |
須磨 |
このたびは | 7点 | このたびは 幣(ぬさ)もとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに |
菅家 = 菅原道真 (かんけ = すがわらのみちざね) [24] |
花宴 |
きりぎりす | 7点 | きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む |
後京極摂政前太政大臣 (ごきょうごくせっしょう さきのだじょうだいじん) [91] |
朝顔 鈴虫 |
秋風 | 8点 | 秋風に たなびく雲の 絶えまより もれ出づる月の 影のさやけさ |
左京大夫顕輔 (さきょうのだいぶあきすけ) [79] |
薄雲 賢木 |
春の夜 | 8点 | 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ |
周防内侍 (すおうのないし) [67] |
若菜下 |
山川 | 8点 | 山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり |
春道列樹 (はるみちのつらき) [32] |
宿木 |
いにしへ | 8点 | いにしへの 奈良の都の 八重桜 今日九重に 匂ひぬるかな |
伊勢大輔 (いせのたいふ) [61] |
柏木 |
寂しさ | 10点 | さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづくも同じ 秋の夕暮れ |
良暹法師 (りょうぜんほうし) [70] |
早蕨 匂宮 東屋 |
わびぬれば | 11点 | わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ |
元良親王 (もとよししんのう) [20] |
澪標 |
わが庵 | 13点 | わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり |
喜撰法師 (きせんほうし) [8] |
若紫 |
難波江 | 15点 | 難波江の 葦のかりねの ひとよゆえ みをつくしてや 恋わたるべき |
皇嘉門院別当 (こうかもんいんのべっとう) [88] |
帚木 |
田子の浦 | 15点 | 田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ |
山部赤人 (やまべのあかひと) [4] |
明石 |
筑波嶺 | 18点 | 筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる |
陽成院 (ようぜいいん) [13] |
空蝉 |
天つ風 | 20点 | 天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ |
僧正遍昭 (そうじょうへんじょう) [12] |
桐壺 |
あしびきの | 30点 | あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む |
柿本人麿 (かきのもとのひとまろ) [3] |
少女 |
小倉山 | 30点 | 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ |
貞信公 (ていしんこう) [26] |
真木柱 |
世の中は | 30点 | 世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも |
鎌倉右大臣 (かまくらのうだいじん) [93] |
浮舟 |
恋すてふ | 35点 | 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか |
壬生忠見 (みぶのただみ) [41] |
蓬生 |
由良のと | 35点 | 由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え 行方も知らぬ 恋の道かな |
曾禰好忠 (そねのよしただ) [46] |
横笛 |
春すぎて | 35点 | 春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 |
持統天皇 (じとうてんのう) [2] |
御法 |
御垣守 | 50点 | みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえ 昼は消えつつ ものをこそ思へ |
大中臣能宣朝臣 (おおなかとみのよしのぶあそん) [49] |
篝火 |
大江山 | 50点 | 大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立 |
小式部内侍 (こしきぶのないし) [60] |
夢浮橋 |